日々刻々と変わる私たちの生活。かつては手作業中心の社会から、工業社会、そして情報が溢れる現代へと移り変わり、さまざまなデジタルサービスが登場しました。今、LLMをはじめとする革新的なAI技術が、新たな変革の風を運んでいます。このような社会の中、あらゆる情報を網羅し、最も正しそうな答えを見出すだけでは意味がなくなってきています。自らゴールを定め、その過程で必要な情報だけを取捨選択し、理解し、行動する―それこそが今求められる姿勢です[1]。私たちは、この考え方こそがデザインの本質を捉えるものだと信じています。この記事では、ゆめみならではのデザインへの想い、向き合い方、そして目指すビジョンをご紹介します。デザインは、ソフトなスキルになるかつてデザイナーといえば、「〇〇さんが手がけた作品」というようなスターデザイナーによる個人のアーティスト的なセンスを持つ人だけが関わる仕事だと思われていたようなはず。一方で、2000年以降IDEOによる「デザイン思考」の普及から一気にその流れは変わってきています[2]。デザイン思考がもたらしたことは数多くありますが、一つ着目すべきことがあるとすれば、それはデザインプロセスへの参加を、これまでいわゆる「デザイナー」に該当してこなかった人たちにも押し広げた部分にあると言えます。少し思い浮かべてみてください。社内でプロジェクトが進んでいる時に、顧客やユーザーにインタビューをしたり、そこから得た情報をもとにカスタマージャーニーを描いたりしているのは、いったい誰でしょうか?そこにはもちろんデザインの専門家もいて、プロジェクト全体をリーディングしているかもしれません。でも、他にも営業、カスタマーサポート、エンジニア、マーケティングなどさまざまな役割の人たちが参加しているのではないでしょうか?自分たちが作っているプロダクトやサービスを使ってくれている人たちのために、より良いものにしようという想いがあれば、そこにはそれぞれの専門性に加えて、よりあたりまえな行為としての、ソフトスキル的なデザインがあるはずです。デザイナーの役割は、デザインという営みを可能にすることこのようにデザインがより多くの人たちによって実践される社会が広がる中、デザイナーにはどのような役割が求められるのでしょうか?その答えの一つが、私たちが考える「デザイン・イネーブルメント」という考え方です。デザインは、前述したように「ゴール(理想の状態)に辿り着くための試行錯誤であり、プロセス」です。デザイナー、もしくは、ソフトスキル的にデザインを実践できる人材であれば、誰でもデザインに取り組んでいると言えるでしょう。イネーブルメントは、「〜を可能にする」という動名詞です。実は、このイネーブルメントという考え方は、古くから作業療法の分野で、顧客中心のリハビリテーションを実践するために考案されたアプローチです [3]。イネーブルメントでは、支援をする個人、チーム、組織の想いとゴールに寄り添い、それぞれに最適化された介入を行います。つまり、デザイン・イネーブルメントとは、支援する相手が持つ理想を達成するために、デザインという試行錯誤的なアプローチを可能にすること。そしてこれが、より高度にデザインという武器を扱うデザイナーに求められる役割だと私たちは考えています。デザイン・イネーブルメントで、社会にポジティブな変化を個人、チーム、組織がデザインという武器を自在に使いこなすためには、さまざまなイネーブルメントのアプローチが必要です。たとえば、相手を深く知り気づきを言葉にする研修、もしくは、チーム全体で活用できるデザインの仕組みづくりなど、選択肢はいくつもあります。どの手法を選ぶかは、クライアントのニーズに委ねられます。本サイト「YUMEMI Design Service Canvas」は、そうした多様なニーズを持つクライアントとともに、常にアップデートを続けるイネーブルメントのアプローチ集です。私たちは、皆さんが描くポジティブな社会変革を共に実現するパートナーでありたいと考えています。ぜひ、お気軽にご相談ください。参考・引用[1]*Herbert Alexander Simon. (1969). The Sciences of the Artificial. MIT Press.*[2]*Brown, T. (2008). Design thinking. Harvard business review, 86(6), 84.*[3]*Townsend, E. A., & Polatajko, H. J. (2007). Enabling occupation II: Advancing an occupational therapy vision for health, well-being, & justice through occupation (2nd ed.). Canadian Association of Occupational Therapists.*